口臭の主な原因は、ほとんどが口の中にあります。
不快な口臭の原因物質は、主に揮発性硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタンなど)というガスです。これらは、口の中にいる細菌が、食べ物のかすや、剥がれ落ちた粘膜(タンパク質)を分解・発酵するときに発生します。
揮発性硫黄化合物
日常生活の中で「におい」に深く関わっており、微量でも非常に強い臭気を放つのが特徴です。硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドが代表例です。
悪い面ばかりではなく、コーヒーやワイン、ニンニク、タマネギなどの独特な風味や香りの構成要素としても重要です。
口臭の種類
病的口臭(口腔内)
口臭全体の90%以上を占めると言われています。
舌苔(ぜったい)

舌の表面に付着する白い苔状の汚れで、剥がれ落ちた粘膜や細菌の塊です。口臭の最大の原因(約6割)とされています。 舌苔を減らすには専用の舌ブラシなどでの除去や唾液の量を増やすことで流し落とすことが有効です。
歯周病

歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)に細菌が溜まり炎症を起こす病気です。歯周病菌は、特に悪臭の強いメチルメルカプタンを大量に産生します。 歯科医院での歯周病治療と徹底したセルフケアが有効です。
メチルメルカプタン
揮発性硫黄化合物の中でも特に「強烈な臭い」と「高い毒性」を持つ物質です。腐った玉ねぎのような口臭が特徴です。
メチルメルカプタンは、単に「臭い」だけでなく、口の健康に直接的なダメージを与えます。歯ぐきのコラーゲン合成を阻害し、組織を破壊する毒性を持っています。これにより歯周病が悪化し、さらにガスが発生するという悪循環に陥ります。また、歯ぐきの粘膜を通り抜けやすく、血管壁を傷つける可能性も指摘されています。
主に歯周ポケット内の「歯周病菌」が、血液や食べかすのタンパク質を分解することで作られます。
むし歯(虫歯)

進行すると、歯にできた穴に食べかすや細菌が溜まり、腐敗することで口臭を発生させます。 歯科医院でのむし歯治療をする必要があります。
唾液の減少
唾液には口の中の汚れを洗い流す「自浄作用」や抗菌作用がありますが、分泌量が減るとドライマウスの状態になり、細菌が増殖し、口臭が強くなります。 水分補給、唾液を増やすためによく咬むことや唾液腺マッサージが有効的です。
ドライマウス
単に「口が乾く」という感覚だけでなく、唾液の分泌量が減ったり、質が変化したりすることで日常生活に様々な支障をきたす状態を指します。
ドライマウスの原因は多岐にわたります。加齢、薬の副作用、口呼吸、ストレス、シェーグレン症候群(自己免疫疾患)や糖尿病などが考えられます。
ドライマウスになると、唾液による「自浄作用(汚れを流す)」「殺菌作用」「粘膜の保護」という働きが不足します。そのため、強烈な口臭、虫歯・歯周病の悪化、食事・会話の困難、痛み・味覚障害を生じます。
病的口臭(口腔外)
全身の病気が原因で、口の中以外からニオイが発生するケースです。
鼻・喉の病気

蓄膿症(副鼻腔炎)や扁桃腺炎、喉にできる膿栓(のうせん、臭い玉)などがある場合、ニオイの原因となることがあります。耳鼻咽喉科での治療が必要です。
全身の病気
糖尿病、逆流性食道炎、肝臓や腎臓の機能低下などが原因で、独特なニオイを伴うことがあります。 内科など専門医での治療が必要です。。
生理的口臭
誰にでも起こり得る、生活習慣や体調の変化による一時的な口臭です。
起床時

寝ている間に唾液の分泌が減少し、口の中の細菌が増えるため、起床時に最も口臭が強くなります。
空腹時(飢餓口臭)
空腹になると体内の脂肪が分解され、ケトン体という物質が発生し、アセトン臭(甘酸っぱいニオイ)として吐く息に混ざることがあります。
緊張・ストレス時
ストレスや緊張によって自律神経が乱れ、唾液の分泌が抑制されるため、口が乾燥し口臭が強まります。
女性のホルモン
生理中や妊娠中など、ホルモンバランスの変化によって口臭が強くなることがあります。
加齢
加齢に伴い唾液の分泌量が減ったり、口周りの筋力が低下することで口臭が強くなることがあります。
飲食物・嗜好品による口臭

ニンニク、ニラ、玉ねぎなどの食べ物、アルコール、タバコなど。消化・吸収され、血液に入ったニオイ成分が肺を通して出てきます。時間が経つにつれ、改善します。
口臭の対策
原因に応じた様々な方法があります。
毎日の口腔ケアを徹底する
口臭の主な原因は、口の中にいる細菌が食べかすなどを分解する際に発生するガスです。このため、口腔内を清潔に保つことが最も重要です。
歯磨き

毎食後、丁寧に歯を磨きましょう。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、歯ブラシでは届きにくい歯と歯の間の汚れもしっかりと取り除くことができます。
舌磨き

舌の表面につく白いコケのようなもの「舌苔(ぜったい)」も、口臭の大きな原因です。専用の舌ブラシや柔らかい歯ブラシ、ガーゼなどを使って優しく磨きましょう。ただし、舌はデリケートなので、強くこすりすぎないように注意し、1日1回程度に留めるのが良いでしょう。
マウスウォッシュ

歯磨きや舌磨き後、マウスウォッシュを使うと口の中の細菌の増殖を抑えるのに役立ちます。
口腔内を潤す
唾液には、口の中の細菌を洗い流したり、増殖を抑えたりする自浄作用があります。唾液の分泌が減ると口の中が乾燥し、口臭が発生しやすくなります。
水分補給
こまめに水を飲むことで、口の中を潤すことができます。
よく咬んで食べる
食事の際によく咬むことで、唾液の分泌が促進されます。
ガムを咬む
食事の時間が空くときや、口の渇きが気になるときは、キシリトール入りのガムを咬むのが効果的です。
キシリトールと唾液
キシリトールが唾液に与える影響は、主に「量を増やす」ことと「質のサポート」の2点に集約されます。
キシリトールは砂糖と同じくらいの甘さがありますが、口の中で溶けるときに熱を奪う性質(吸熱反応)があるため、独特の「ひんやりした爽やかな甘さ」があります。これが味覚を刺激し、唾液腺を活性化させて唾液量を増やします。
砂糖は細菌に分解されて「酸」になり、唾液がそれを中和するのに時間がかかります。しかし、細菌はキシリトールを分解できないため、酸が全く作られません。結果として、唾液は「中和作業」に追われることなく、余裕を持って口内環境を整えることができるので唾液の質に影響がありません。
唾液腺マッサージ

唾液腺をマッサージすることで、唾液の分泌を促すことができます。
食生活と生活習慣を見直す

ニンニク、ネギ、ニラなどの匂いの強い食べ物や、アルコール、コーヒーなどは一時的な口臭の原因になります。
口臭予防に良い食べ物(ポリフェノールを含もの)を摂る
緑茶やウーロン茶、リンゴなどに含まれるポリフェノールは、口臭の原因物質に働きかけます。
ポリフェノールと口臭
二段階の消臭メカニズム
ポリフェノールが口臭に効く理由は、ポリフェノールに抗菌作用と消臭作用があるからです。
第1段階:細菌の活動を抑える(抗菌作用)
メチルメルカプタンは主に歯周ポケット内の「歯周病菌」が、血液や食べかすのタンパク質を分解することで作られます。ポリフェノールがタンパク質と結合して菌の活動を阻害することにより、メチルメルカプタンなどのガスの発生を抑えます。
第2段階:ニオイを直接キャッチする(消臭作用)
すでに発生してしまった揮発性硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタン)と化学的に結合し、ニオイのない別の物質に変えてしまいます。
特に効果的なポリフェノールの種類
日常的に取り入れやすいもので、口臭予防効果が科学的に注目されているのは以下の3つです。
茶カテキン
含まれる食品:緑茶、紅茶
特徴・メリット:殺菌力が非常に強く、揮発性硫黄化合物と結びついて無臭化する力が高い。
リンゴポリフェノール
含まれる食品:リンゴ(特に皮)
特徴・メリット:メチルメルカプタンの発生を最大50%程度抑制するという報告もあります。
カカオポリフェノール
含まれる食品:チョコレート、ココア
特徴・メリット:歯周病菌に対する抗菌作用があり、歯ぐきの健康維持を助けます。
食物繊維が豊富な野菜

ゴボウやセロリなどは、よく咬むことで唾液の分泌を促します。
乳酸菌

ヨーグルトなどの乳酸菌は、腸内環境を整えることで、口臭の改善にもつながることが期待されます。
喫煙を控える

タバコは、口臭を発生させるだけでなく、歯周病のリスクも高めます。
規則正しい生活
ストレスや睡眠不足は唾液の分泌を妨げるため、規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。
歯科医院でのプロフェッショナルケア
歯科医院で定期的にクリーニングを受けることで、自分では落としきれない歯石やプラーク歯垢を除去できます。
原因の特定と治療
むし歯や歯周病、ドライマウスなどが口臭の原因になっていることもあります。口臭が気になる場合は、歯科医院を受診して原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。
