矯正歯科中の歯磨きはどうですか

矯正中の歯磨きは、通常の歯磨きよりも手間がかかり、工夫が必要です。矯正装置(特にワイヤー矯正のブラケットやワイヤー)があることで、食べかすやプラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、磨き残しが増え、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、より丁寧なケアが求められます。

矯正中の歯磨きの基本とコツ

頻度と時間

毎食後の歯磨きが理想です。食後は特に食べかすが装置に挟まりやすいため、こまめに磨くことが重要です。1回の歯磨きにかける時間は、普段よりも長く、10分程度を目安に丁寧に磨きましょう。

歯ブラシの持ち方と力加減

歯ブラシは鉛筆を持つように「鉛筆持ち」にすることで、余計な力が入りにくくなり、小刻みに動かしやすくなります。力を入れすぎず、優しく小刻みに磨くことを意識しましょう。強く磨くと歯や歯茎にダメージを与えたり、矯正装置を傷つけたりする可能性があります。

鏡を見ながら磨く

矯正装置があると、どこに汚れが溜まっているか、歯ブラシがしっかり当たっているかを確認しづらくなります。手鏡などを使って、磨けているかを確認しながら磨くことが大切です。

磨き残しのチェック

定期的に染め出し液を使って、磨き残しがないか確認するのも効果的です。

ワイヤー矯正(ブラケット矯正)の場合

ブラケットの周り

歯ブラシの毛先をブラケットに対して45度の角度で当て、ななめ上、ななめ下、正面の3方向から丁寧に磨きます。毛先を軽く押し込むようにして、ブラケットの隙間や周りの汚れをかき出します。歯を1本ずつ意識して、小刻みにブラシを動かしましょう。

ワイヤーと歯の間

歯ブラシの毛先をワイヤーの下に少しだけ通すようにして、上下それぞれから磨きます。

歯と歯茎の境目

歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに優しく磨きます。歯茎をマッサージするようなイメージで。

奥歯の溝や裏側

ブラケットやワイヤーが邪魔で磨きにくくなるため、特に意識して丁寧に磨きましょう。

マウスピース矯正の場合

マウスピースは取り外し可能なので、食事と歯磨きの際には必ず外します。

歯磨きは、通常の歯磨き方法で問題ありません。ただし、アタッチメント(歯の表面に付着する小さな突起)がある場合は、その周りに汚れが溜まりやすいので意識して磨きましょう。

マウスピース自体も、毎日洗浄ブラシや専用の洗浄剤で清潔に保つ必要があります。

矯正中の歯磨きに便利なアイテム

通常の歯ブラシだけでなく、以下のような補助的な清掃用具を併用することが非常に効果的です。

矯正用歯ブラシ
谷型カットブラシ(U字型)

中央の毛が短く、矯正装置に当たる部分が凹んでいるため、装置に負担をかけずに歯の表面を磨けます。ヘッドが小さめ、毛先が柔らかめの歯ブラシを選ぶと、細かい部分まで届きやすく、歯茎への負担も軽減できます。

山型カットブラシ

毛束の中央が山型になっているタイプで、ブラケットの周りに毛先が届きやすいです。

ワンタフトブラシ(タフトブラシ)

毛束が1本またはごく少量で、非常に小さく細いブラシです。ブラケットの周囲、ワイヤーの下、歯と歯の間、歯並びが複雑な部分、親知らずの周りなど、通常の歯ブラシでは届きにくい場所をピンポイントで磨くのに非常に有効です。

ホルダータイプのフロス

ワイヤーと歯の間、歯と歯の間など、隙間の汚れをかき出すのに使います。様々なサイズがあるので、ご自身の隙間に合ったものを選びましょう。

フロス

歯と歯の間のプラークを除去するのに使います。ワイヤー矯正の場合は、フロスをワイヤーの下に通すための「フロススレッダー」という補助具があると便利です。

電動歯ブラシ

矯正装置を付けていても使用できるタイプの電動歯ブラシもあります。手磨きが苦手な方や、より効率的に汚れを除去したい方におすすめです。ただし、歯や歯茎に負担をかけないよう、適切な使い方を歯科医院で確認しましょう。

デンタルリンス(洗口液)

歯磨き後に使用することで、口腔内の細菌数を減らし、口臭予防や虫歯・歯周病予防に役立ちます。フッ素配合のものがおすすめです。