
マウスピース矯正は「痛くない」と言われることが多いですが、実際には全く痛みがないわけではありません。ただし、ワイヤー矯正に比べると痛みがマイルドで、多くの方が我慢できる程度のものです。
痛みの主な原因と種類
マウスピース矯正中に痛みを感じる主な原因は以下の通りです。
歯が動くことによる痛み(圧迫感、締め付け感)
原因
新しいマウスピースに交換した直後、歯に新しい力が加わるため、歯が移動しようとすることで痛みが生じます。これは歯の周りの組織(歯根膜)が反応している証拠です。
感じ方
歯が「押されている」「引っ張られている」「ぎゅーっと締め付けられる」ような感覚や、じんじんとした痛みを感じることがあります。
期間
痛みを感じ始めるのはマウスピース装着後3~6時間後くらいで、ピークは1~2日後が多いです。通常、2~3日で徐々に慣れていき、1週間以内にはほとんど気にならなくなる方が多いです。
対処法
痛み止めを服用する(歯科医師に相談して処方してもらうか、市販薬で対応)。
痛みが強い期間は、硬いものを避け、おかゆ、うどん、ゼリーなど柔らかい食事にする。
マウスピースの交換時間を就寝前にすると、寝ている間に痛みのピークを過ぎることができます。
マウスピースやアタッチメントが口内に当たる痛み

マウスピースの縁が歯茎や頬、舌に当たって擦れたり、刺激したりすることで痛みや口内炎ができることがあります。また、歯の表面に付ける小さな突起物(アタッチメント)が口内に当たって痛むこともあります。
感じ方
擦れるような痛み、口内炎、ヒリヒリ感。
対処法
歯科医院に連絡し、マウスピースの縁を調整(削るなど)してもらう。自己判断で削らず、必ず歯科医院に相談しましょう。
咬み合わせの変化による痛み
原因
矯正中は歯の位置が日々変化するため、一時的に特定の歯の噛み合わせが強くなったり、上下の歯がぶつかる感じがして痛みが出ることがあります。
感じ方
咬んだときに特定の歯が痛む、違和感。
対処法
歯科医師に相談し、必要に応じて噛み合わせの調整をしてもらう。
装着時間が短いことによる痛み(後戻り)
原因
マウスピースの装着時間を守らない(1日20~22時間以上)と、歯が元の位置に戻ろうとしてしまい、次にマウスピースを装着した際に強い圧迫感や痛みを感じることがあります。
感じ方
マウスピースを装着した時に非常にきつく感じる、強い痛み。
対処法
指示された装着時間をしっかり守ることが最も重要です。もし長時間外してしまい痛みが強い場合は、無理に装着し続けず、歯科医師に相談しましょう。
ワイヤー矯正との比較
一般的に、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて痛みが少ないと言われています。
ワイヤー矯正
装置の調整後やワイヤー交換後に強い痛みが出やすく、口内炎もできやすい傾向があります。
マウスピース矯正
歯に加わる力が段階的でマイルドなため、全体的に痛みが少ない傾向があります。新しいマウスピースに交換した数日間は痛みを感じやすいですが、その後は慣れていくことが多いです。
痛みの感じ方には個人差がある
痛みの感じ方には個人差が非常に大きいです。「ほとんど痛みがなかった」という方もいれば、「交換のたびに数日痛みが辛かった」という方もいます。
マウスピース矯正は痛みが少ない傾向にありますが、全く痛くないわけではありません。特に新しいマウスピースに交換した直後や、初めて装着する際に痛みや違和感を感じることがありますが、多くの場合、数日で慣れていきます。もし痛みが長引いたり、我慢できないほど強い場合は、必ず担当の歯科医師に相談しましょう。適切な対処法を教えてもらえたり、マウスピースの調整や治療計画の見直しをしてもらえる場合があります。

