
マウスピース矯正の期間は、「歯を動かす期間(動的治療期間)」と、動かした歯が元の位置に戻らないように安定させる「保定期間」の大きく2つに分けられます。
歯を動かす期間(動的治療期間)
この期間は、個々の歯並びの状態や治療範囲によって大きく異なります。
全体矯正(奥歯を含むすべての歯):一般的な目安:1年~3年程度
歯並びの乱れが軽度であれば1年~1年半程度で終わることもありますが、中程度~重度の叢生(ガタガタ)、出っ歯、受け口、抜歯が必要なケースなど、複雑な動きを伴う場合は2~3年以上かかることもあります。
部分矯正(前歯など特定の部位):一般的な目安:2ヶ月~1年程度
軽度のすきっ歯や、前歯の軽度なガタつきであれば、数ヶ月で改善が見られることもあります。ただし、部分矯正が適用できるのは、比較的軽度な歯並びの乱れに限られます。
期間に影響する要因
歯並びの乱れの程度

歯並びが悪いほど期間は長くなります。歯並びが悪いと、歯を動かす範囲が大きくなるので治療期間が延びる傾向にあります。
治療範囲

全体矯正か部分矯正かによって大きく異なります。治療範囲を限局的にすれば、歯を動かす範囲も少なくなるので治療期間が短くなる傾向にあります。
抜歯の有無

抜歯が必要な場合は、歯を大きく動かす必要があるため、期間が長くなる傾向があります。
骨格的な問題
顎の骨格に問題がある場合は、治療が難しく、期間が長くなることがあります。上下顎の骨にズレがある場合は上下の歯にもズレがある場合が多いです。
上顎に下顎小さい場合は上顎の前歯と下顎の前歯の距離が大きくなることがあります。上下の前歯で咬める位置まで上顎の前歯を下げてくるには期間が長くなることが多いです。
年齢

小児矯正は骨の成長を利用できるため、比較的早く進むことがあります。成人矯正は顎の骨の成長が止まっているため、歯の動きがゆっくりになる場合があります。
患者さんの協力度
マウスピースの装着時間を守る(1日20~22時間以上)、指示された交換頻度を守る、定期的な通院をするなど、自己管理が非常に重要です。これを守らないと、治療が計画通りに進まず、期間が大幅に延長される可能性があります。
トラブルの有無
虫歯や歯周病の治療が必要になったり、マウスピースを破損・紛失したりすると、その都度治療計画の見直しやマウスピースの再作成が必要となり、期間が延びます。
保定期間
歯を動かし終わった後、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐために、保定装置(リテーナー)を装着する期間です。
一般的な目安:矯正期間と同程度(1年~3年程度)
最低でも1年~2年は必要とされ、その後も可能な限り長期間、夜間だけでもリテーナーを装着することが推奨されます。
治療期間の目安
動的治療期間と保定期間を合わせると、マウスピース矯正の全体の期間は2年~5年程度が目安となります。
マウスピース矯正の治療期間は、患者さん一人ひとりの状態や協力度によって大きく異なります。正確な期間を知るためには、歯科医院でカウンセリングや精密検査を受け、具体的な治療計画を立ててもらうことが最も重要です。

