
マウスピース矯正は手軽で目立ちにくいというメリットがある一方で、いくつかの失敗例も報告されています。主な失敗例とその原因、そして対策を理解しておくことで、後悔のない矯正治療を目指せます。
マウスピース矯正の主な失敗例
仕上がりに満足できない・理想の歯並びにならなかったなどがあります。
歯並び不具合の例
・前歯のデコボコが残ってしまった。
・歯と歯の間にすき間(ブラックトライアングル)ができた。
・正中(上下の歯の真ん中)がずれてしまった。
・期待していたほど口元が引っ込まなかった(口元がもっこりした)。
・出っ歯になった。
・奥歯がうまく噛み合わなくなった
原因
患者側の協力不足
マウスピースの装着時間が不足した(1日20~22時間以上を守れなかった)、指示された交換時期を守らなかった。これが最も多い原因です。
歯の動きが予想と異なる
歯の根の形や骨の硬さなど、個人差によって歯が動きにくい場合。
治療計画の不備
最初から実現が難しい計画を立てていた場合。
トラブル発生
虫歯や歯周病になった、マウスピースを紛失・破損した、アタッチメントが取れた、などのトラブルで治療が中断・遅延した。
虫歯や歯周病になった

口腔ケアの不足: マウスピースを装着したままで甘い飲み物を飲んだり、歯磨きをせずにマウスピースを再装着したりすることで、歯とマウスピースの間に細菌が繁殖しやすい環境が作られ、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
マウスピースの清掃不足: マウスピース自体が不衛生な状態だと、細菌の温床となります。
歯茎が下がった(歯肉退縮)
原因
無理な歯の移動
歯に過度な力がかかったり、骨の薄い部分に無理やり歯を動かそうとしたりすることで、歯を支える骨が吸収され、歯茎が下がってしまうことがあります。
不適切な抜歯
スペース確保のために抜歯をした際に、歯が不自然な方向に倒れこむなど、計画通りに歯が動かなかった場合。
歯周病の進行
矯正中に歯周病が悪化すると、歯茎が下がることがあります。
結果
歯が長く見えたり、歯根が露出して知覚過敏になったり、歯と歯の間に黒いすき間(ブラックトライアングル)ができたりします。
矯正後に後戻りした
原因
保定期間の不足
動的治療期間が終わった後の「保定期間」に、リテーナー(保定装置)を指示通りに装着しなかったことが主な原因です。歯は元の位置に戻ろうとする性質があるため、保定期間が非常に重要です。
治療計画の不備
歯並びの安定性を考慮しない治療計画だった場合。
費用が当初の予定よりかさんだ
原因
治療期間の延長
治療期間が長引いたことで、追加のマウスピース作成費用や通院費がかさんだ。
追加治療の発生
虫歯治療、抜歯、セラミック治療など、矯正と並行して他の歯科治療が必要になった場合。
総額制でない料金体系
調整料や追加マウスピース代が別途発生する料金体系のクリニックを選んだ場合。
失敗を防ぐためのポイント
これらの失敗例を避けるためには、以下の点に注意することが重要です。
信頼できる歯科医院・歯科医師を選ぶ
マウスピース矯正の実績が豊富で、専門的な知識と経験を持つ歯科医師を選ぶ。
日本矯正歯科学会の認定医・指導医などの資格を持つ医師がいるか確認する。
精密検査(口腔内スキャン、レントゲン、CTなど)をしっかり行い、詳細な治療計画(3Dシミュレーションなど)を提示してくれるか。
治療費や期間、リスクについて丁寧に説明してくれるか。
治療中のトラブルや疑問に対して、適切に対応してくれるか。
患者側の自己管理を徹底する
マウスピースの装着時間を守る(1日20~22時間以上)。
指示されたマウスピースの交換時期を守る。
毎日の丁寧な口腔ケアとマウスピースの清掃を徹底する。
保定期間中は、指示通りにリテーナーを装着する。
歯科医師と密にコミュニケーションをとる
不安な点や疑問があれば、すぐに相談する。
マウスピースのフィット感に違和感がある場合は、早めに伝える。
トラブルが発生したら、自己判断せず歯科医師に連絡する。
マウスピース矯正は患者さんの協力が不可欠な治療法です。歯科医師との連携を密にし、自己管理を徹底することで、失敗のリスクを減らし、理想の歯並びと健康な口腔内を目指すことができます。

